『つめたい光、あたたかい青の中』遠藤ふみ[hitorri-969]



『つめたい光、あたたかい青の中』


絵:sasakure.さん



■ ftarriのhitorriページ [hitorri-969]:

■ bandcamp [CD/音源データ購入可]:



(以下、敬称略)

演奏:遠藤ふみ - Ftarriのピアノ
調律:張能康博
録音・マスタリング:Ftarri
絵:sasakure. (instagram) (twitter)
デザイン:Cathy Fishman

トラック:
  1. (13:59)
  2. (10:24)
  3. (7:21)
  4. (15:57)
  5. (6:01)

2022年7月18日 (2-4)、2022年8月22日 (1, 5)、
東京 Ftarri にて無観客で録音







2020年9月26日、当時コロナの影響でリモートでのセッションを繰り返していた柳沢さん阿部くんとのトリオで私はftarri初出演(ブッキング経緯で鈴木さんに叱られた記憶あり)、その前にも何度か聞きに行ってますが、大体このくらいから今に至るまでずっと、フタリにはとてもお世話になっています。

2021年1月4日、鈴木さんが、私が大変尊敬しているヴィオラ奏者、池田陽子さんとのスケジュールを組んでくださって、初めて人前でソロの演奏をしました。(この日のデュオの録音はbandcampにあります。そして齊藤さんのレポート。齊藤さんこの日が初対面だったみたい。いつもありがとうございます。→ JazzTokyoでの齊藤さんの連載「インプロヴァイザーの立脚地」vol.7にインタビューみたいなものを取り上げていただきました。本当にありがとうございます。
当時即興演奏自体殆どやったことがなかったのもあり、Ftarriでソロって一体何すればいいんだろうと頭を悩ませ(別に今もわからないけど)、何となく温めていた(というかBGMとしてしかできなさそうだからそのうちどこかでやらせてもらえないかな、くらいに思ってた)ものを半ばダメ元でやったところ、鈴木さんがピカンとなってくださってソロCD制作の運びとなりました。元々はこの日のもの含めライブ録音を収録する予定で、恐らくそれを目的に一時期Ftarriでソロセットありのライブを異様にたくさん組んでいただいていたのですが、結局ライブ録音してた頃のはオーディオインターフェース刷新前で録音がいまいち(というか新しくしてからが段違いに音良いらしいです)ということで使われず、昨年夏に無観客で改めて録りました。
ああでも、昨年8月22日分は沼尾さんの弾き語り(twitterftarri uta-220 / bandcamp)前後に録っていて、ライブ終わり夜遅く疲れていただろう沼尾さん市原さん岡川さんが息をひそめて聴いてくださっていたので、自分としては無観客ではなかったです。すみません、ありがとうございました。沼尾さんとCD同日リリースでしたが、録音も一部同日だったんですね。
ほかの日も鈴木さんが聴いてくださっているし、別に人らしい人が誰も聞いていなくても、いつだって無観客ではないと言えばないし、同時にその逆も言えるように思います。

2021年の使われなかった録音も鈴木さんはCD一枚分マスタリングまでしてくださっていて、2022年7月1日にCD-Rでデータを頂いています。(時系列見た限り、その直後にやっぱり録り直そうと決めている鈴木さん。)時期によって演奏内容が絶妙に違うし何より鈴木さんがすごい労力掛けてくださっているのでお蔵入り若干残念な気もしましたが、眠った録音、ちょっと思い馳せると、お守りみたいです。




内容の話は…
ピアノを弾いています。

トラックの選別や並び替えも鈴木さんがしてくださいました。8割くらい鈴木さんの作品なんじゃないかと思う。最近とても有難いことに演奏機会が多くて、自分の録音聞くと自分に影響受けるので基本的にいつも一回しか聞かないことにしていて、実はこれも一回聞いたきりです。書かないほうがいいことかもしれない。けど実際そうです。内容の良し悪しの問題ではなくそうというだけで、信頼している方にリリースしてもらっているのでその時点で担保されているものがあると思っています。どこに比重を置いているかの話でもある。

とはいえ録音物を聴いてもらえて、感想伝えてもらえるの、素直にとても、とても喜んでいます。お互い全然知らないっぽい方も聞いてくださっている様子が届いて、CDってすごいなと思う。感触よくなかった方も伝えてくださっていいですよ、すこし気遣いいただけると助かりますが…。絶対に万人受けしない盤です。普段から本当にそう。






sasakure.さんのこと。

たぶん2021年7月24日に阿部くんがアポロでsasakure.さんのzineをくれて初めて知って(sasakure.さんが下北沢で路上展示をされていてそれを見に行った阿部くんが布教用にzineいくつかもらってきていた)、以来当時ほぼ毎日instagramにアップされていた絵をずっと見ていて勝手にありように励まされたりしていたら2022年3月22日に偶然お会いできて(アキオさん石橋英子さん藤原さん阿部くん回をsasakure.さんも私も聴きに来ていた)挨拶して、その後2022年7月2日高円寺であったsasakure.さんの個展『ここで待ち合わせ』を見に行ったらすっかり、本当にすっかり、ものすごく惹かれてしまったのでした。
ジャケット元々は全然違う、昔自分が撮った枯葉の写真(すこし月面っぽい)を使おうとしていたんですがどうにもしっくりきてなくて、リリース延びに延びているしやっぱ変えようかなと悩んでいた2022年9月4日、sasakure.さんがFtarriに現れました(池田謙さん阿部くん遠藤の初トリオを聞きに来てくださいました。このトリオ2023年3月31日なんとクラシックスでライブします→しました)。私はその日sasakure.さんが現れるまでにも正直なところジャケットsasakure.さんにご依頼させていただきたいと思っていて、私にとってきっかけだった阿部くんもそこに後押ししてくれて、トントントン。

鈴木さんからマスタリング前の録音一トラックを戴いて、sasakure.さんにそれを聞いていただき、描いていただきました。下手すると普通にハラスメントなのでは(音ハラ)とはらはらしていたのですが、sasakure.さんはすごい方なので、ほんとにそれを丁寧にきいて、こんな素敵な絵を描いてくださいました(ページ上部を参照)。
sasakure.さんはピアノの弦が鳴った音よりも、鍵盤の落ちる音やペダルの軋みなどピアノ内部のあれこれをよく聴いたと話してくださって、私も演奏中そういった音によく耳を澄ませていたのでとても嬉しく思ったのですが、鈴木さんはそれらを綺麗に除いてくださいました。ふふ。(って笑えないほど、それは途轍もない労力が必要になる作業です。)記録されていない音で描いていただいています。内部構造起因の音、Ftarriの古いピアノならではの音で結構面白いんじゃないかと思いましたが、残ってたらまた別の要素で意味を取られる作品になっていたかもしれないので、鈴木さんの判断成程なと時間差で思います。

アルバムタイトル、もともと鈴木さんとああでもないこうでもないと話していて私の名付けセンスの無さから結局何もつけない予定でしたが、sasakure.さんからこの絵が送られてきたらスッと浮かんで、でもそれ鈴木さんに送ったら「ごめん好きじゃない」と一蹴(メールだから傷つく!)、前後5文字を削って本タイトル(『つめたい光、あたたかい青の中』)になりました。傷ついたけど時勢の諸々もあり結果良かったです。飲み込めました。そしてタイトル付けられて嬉しいです。sasakure.さん重ね重ねありがとう。
ちょっと絵本みたいですよね。


2023年1月21日NRFSでルイス稲毛さんがsasakure.さんに「ひとりだけどひとりじゃないっていうか」ってさらっと仰って、ルイスさんはあまりにさらっと本質を突くからいつもびっくりする、そうなんですよねと強く思いました。sasakure.さんの絵、ミクロに見つめた先にマクロが広がってて、さらにそれが何だかあたたかい(つめたいとかあたたかいとかないんだけどあたたかい)、みたいな印象が私にはあります。ブラックホールの先にホワイトホールがあるみたいな(宇宙に関してにわかですすみません)。あとなんか、ナウシカが落ちた先にあった腐海の地下(これもし誰か言ってたらその人と友達になりたいです)。空気があるのかないのかわからないけど苦しくない、とかそういう空間です。そしてそこに誰かいる。すごいんですよね。機器の画面上で見ても素敵なんですが、原画ほんとにすごくて。そして原画を、描いていただいてしまったわけです。

現在Ftarriに原画を飾っています。



私が変な額縁を用意してしまって、でも真剣に原画保護したいのでご容赦ください。




これ今ここから更に2023年1月16日に(リリース前なのに)行ったレコ発について書こうとしていますが一生書き上がらないので、書き途中で上げます。徐々にかきます。







おまけ:

温めていた→ 旧soundcloud

ソロのプロトタイプです。もともと即興演奏する意識はまったく無くて(内容もこれはかなり曲っぽい)、大好きなスタジオを個人練習で借りていて、何となく部屋真っ暗にして音出していたら急にピアノのハンマーその他の音が愛おしく聴こえて衝動的に録ったものでした。これも古いアップライトピアノで、アップライトで即興演奏するの自分は必然だったのかもしれないなと思います。




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